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2006年 2月 8日(水) 16時33分

大量保有の特例、規制強化しても誰も得しない=大崎・野村資本市場研究所研究主幹


 [東京 8日 ロイター] 野村証券資本市場研究所の研究主幹の大崎貞和氏は8日、投資ファンドが株式の大量保有報告を3カ月間開示しなくて済む「特例」をめぐって金融庁が規制強化のための法改正案を提出する方針について、世界的にも例のない厳しい開示ルールにしても誰も得をしないし、日本の資本市場のためにならないと指摘。金融庁が証券取引法の改正案を今国会に提出した後も「国会でひっくり返してほしい」と述べ、今後も引き続き慎重に議論を続けるべきとの考えを示した。
 自民党金融調査会・企業会計に関する小委員会の合同会議で語った。

 大崎氏は、同小委員会が「証券市場に関する当面の問題についてのヒアリング」と題して開催した会合に東京大学大学院の神田秀樹教授と共に呼ばれ、ライブドア<4753>問題を機に発生した市場制度の問題点や課題について説明した。
 同小委員会には金融庁の総務企画局幹部らも出席した。

 そのなかで一部委員が、投資顧問会社(ファンド)などが経営支配を狙って大量に株式を取得した場合の情報開示は強化すべきだが、投資信託などのファンドを受益者のために運用している投資顧問会社まで同じような規制強化の対象にしたら、大口取引の情報が頻繁に開示され、マーケットに余計なボラティリティを与えることになると発言。出席した有識者の意見を求めた。

 これに対し大崎氏は、金融審議会第一部会の「公開買い付け制度(TOB)等ワーキンググループ」で昨年末、大量保有報告書の「特例」の該当期間を、現行の3カ月ごとから2週間に短縮する方針が決まったことを未だに満足していないとしたうえで、「(金融庁が証券取引法改正案を提出後でも)国会でひっくり返してもらうべきだと思う。大口の運用会社はあきれ果てている。(法案が成立したら)世界にも例を見ない厳しいものになるし、それで誰が得をするのか」と訴えた。
 さらに、今からでも法案を変えるか、今国会で証券取引法改正案が成立しても、後から新しい法律で手当てするなどの処置も考えるべきではないか、と提言した。

 証券取引法は、発行済み株式の5%超の上場企業株式を保有する株主に対し、保有比率や保有目的を示した「大量保有報告書」を5営業日以内に提出するよう定めているが、「特例」の対象となるファンドや証券会社などは、年4回の基準日を決め、基準日時点の保有状況を翌月15日までに開示すればよいとなっている。
 日本では、村上ファンドなど一部のモノ言う株主が突如、筆頭株主などに浮上する事態が相次いだことから、経・財界や与党は社会的な不安感を助長したと主張。「公開買い付け制度(TOB)等ワーキンググループ」は、「特例」該当期間を現行の3カ月ごとから2週間に短縮する案を了承し、金融庁は、証券取引法の改正案を3月にも提出する方針だ。

 日本の特例制度は、海外の主要マーケットに比べてすでに厳しい。
 米国の特例は、1年ごとに基準日を指定し、基準日時点の保有状況をその後45日以内に開示するという内容で、日本の制度より緩やか。欧州の現行制度でも、保有割合が10%を超えた場合にだけ報告義務があるほか、その後に保有割合が変わった際に提出を求められる「変更報告書」も、20%を上回るまで必要ではない。

 今月7日には、在日米国商工会議所(ACCJ)の金融サービス委員会と投資運用小委員会が日本の特例制度について、現状維持を求める意見書を公表した。
 欧米の大手投資顧問を代表し、ACCJは、特例の見直しは投機的な取引を加速させ、顧客資産を委託されている運用会社の最良執行の妨げになる可能性があるほか、日本株への投資減退の可能性もあるとし、最終的には「ファンド資産の日本市場に対する投資が減少、つまり日本企業にとっての長期資本となる重要な資金源が減ることとなる」(ACCJ)などと指摘。
 経営権の取得を目的に株式を大量に取得するファンド(投資顧問)と、一般の機関投資家を区分するために、米国や英国のように大量保有報告書の「取得の目的に関する開示内容(要件)を強化することで対処すべき」(ACCJ)と提言していた。



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