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2005年 3月11日(金) 20時32分

[アングル]敵対的買収に対する防衛策導入、欧米では消極的な姿勢に変化


鈴木 透編集委員

 [東京 11日 ロイター] ライブドア<4753>が仕掛けたニッポン放送<4660>に対する敵対的買収は、企業経営者に大きな波紋を投げかけた。その結果、敵対的買収に対する防衛策が必要との声が急速に高まり、自民党の部会は11日、外国株式対価の合併の解禁を1年延期することを決め、経済産業省は敵対的買収に対する防衛策の取りまとめを行っている。ただ、企業買収の先進国である欧米では、敵対的買収に対する防衛策導入について、企業の消極的な姿勢が目立ってきている。日本でも、今後の防衛策の検討にあたっては、欧米の状況を見たうえで、慎重な検討が必要になりそうだ。

 企業買収の先進国である米国では、これまで多くの敵対的買収が行われ、様々な防衛策も作られた。
 また、判例も多く蓄積されてきている。防衛策の中でも代表的なものが、ポイズン・ピル。敵対的買収者が不利益を被るような仕掛けを予め設定しておく仕組み。
 だが、近年は米国でポイズン・ピルに対し、廃止すべきとの声や、株主総会の決議によって導入するべきとの意見が多く出ている。
 また、ポイズン・ピルだけではなく、他の敵対的買収に対する防衛策の導入についても、株主から多くの反対意見が出てきている。
 その理由は、敵対的買収に対する防衛策が、「経営者の地位保全にために行われようとしており、本来の株主利益を考えたうえでのものではない」との主張や、「防衛策を導入することで、市場の規律をゆがめたり、市場での取引を混乱させる原因になる」といった指摘だ。
 欧州では、敵対的買収の防衛策導入に対して、米国よりさらに消極的だ。EUでは2004年3月に、「EU Takeover Directive」を採択し、企業買収を奨励しているが、この中では、当初は敵対的買収に対する防衛策の導入について、全面的に禁止する方向で検討されていた。
 ただ、これに対してドイツが強硬に反対したことから、一部の防衛策は認められることになった。
 しかし、欧州の基本的な考え方は、「企業買収の活発化によるメリットを享受する」という点にあり、それにより国際競争力を高めていくことを狙いとしている。
 このように、いまや欧米では敵対的買収に対する防衛策の導入は消極的になっており、むしろ敵対的買収により企業価値がどのように向上するのかという点を株主が見極めたうえで判断するという姿勢に変化してきている。
 他方、わが国ではライブドアのニッポン放送買収をめぐる一連の動きを受け、自民党の法務部会・商法に関する小委員会合同会議は、外国株式を対価にした企業合併を認める規定の施行について、1年延期することを了承。18日に閣議決定する見通しとなった。

 今後、わが国において敵対的買収に対する防衛策を検討するうえでは、安易に防衛策を導入するのではなく、買収の是非に対して株主の判断が反映されるような枠組みの検討が必要だ。

(ロイター通信日本語サービス編集部 鈴木透編集委員、 ロイターメッセージング:toru.suzuki.reuters.com@reuters.net、メールアドレス:toru.suzuki@reuters.com、
電話:03―5473―3728)


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